先端医科学研究所 遺伝子制御研究部門について 癌を中心とする難治性疾患の予防・診断・治療に貢献

Myc誘導性腫瘍Ex vivoモデルの構築及び解析

杉原 英志

Mycは主にc-Myc, N-Myc, L-Mycと遺伝子ファミリーを構成し、約70%の腫瘍において過剰発現・変異・転座・分解異常が見出されているがん遺伝子である。MycタンパクはDNA結合型転写因子としてMaxとヘテロ二量体を形成し、プロモーター上のE-box (CACGTG)モチーフ配列を認識してターゲット遺伝子の転写を促進する。一方、Miz1と呼ばれる転写因子を抑制することでターゲット遺伝子の転写抑制を行う。Mycは正常時、細胞増殖・分化・細胞運動・アポトーシスなど様々な生命現象に関与することが分かっているが、Mycの過剰な発現によってどうような分子シグナルが働き、どのような機序を経てがんが発生するのかはよく分かっていない。それには個体レベルにおけるMyc発現細胞の詳細な動向の解析がきわめて重要である。私たちはこれまでにMycをマウス造血系前駆細胞及び神経系前駆細胞に遺伝子導入を行い、移植することで造血器腫瘍及び脳腫瘍のEx vivoモデルを構築した(下図)。これらの腫瘍モデルは短期間で非常に再現性の高い腫瘍形成能をもっているため、がんの起源細胞やがん幹細胞の解析に非常に有用である。現在これら腫瘍マウスモデルを用いて起源細胞の同定や癌化の詳細な分子メカニズムの解析、癌幹細胞の同定及び性状解析を行っている。

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