先端医科学研究所遺伝子制御研究部門は、平成19年1月1日に佐谷秀行が初代教授として着任し開講いたしました。全国から様々な専門性を持った熱意ある研究者や医師や学生が集まり、日夜研究を行っています。本部門の研究目的はがんや遺伝性疾患など難治性の病気の発生機構を詳細に解析し、その予防・診断・治療の新規戦略を提案することにあります。この目的を達成するために、まず私達は臨床で生じた問題を臨床サンプルを用いて具体化し、その病態を細胞やモデル動物で再現することに注力します。そしてその病態を分子や遺伝子レベルで説明し、疾患を診断・治療するための標的を絞り込みます。最終的には標的分子や標的遺伝子を制御する手段(低分子化合物、核酸、抗体など)を開発し、モデル動物を用いた非臨床試験、そして臨床試験へと進みます(下図)。非臨床試験や臨床試験はまた新たな問題を私達に投げかけますが、それを次の研究サイクルで解決していきます。つまり、基礎研究で得たユニークな知見を、臨床に還元することをポリシーとしています。そしてこのような研究を通して、医学生物学の発展に貢献できる人材を育成することが教室に与えられた責務であると考えています。

2020/04/08癌幹細胞マーカーCD44の機能解析
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鉄依存性細胞死(フェロトーシス)とシスチントランスポーターxCTの役割 癌細胞内で代謝や抗癌剤治療などにより、H2O2などの活性酸素が蓄積すると、フェントン反応により2価の鉄イオン(Fe(Ⅱ))の存在下で、ヒドロキシラジカル(・OH)が生成される。この・O[続きを見る] |